イスラーム映画祭2 レバノン映画

昨日、土曜日に見られなかったレバノン映画「私たちはどこに行くの?」を観て来ました。面白かった~!!!

クリスチャンとムスリムが半々くらいで暮らす田舎の村で、女性たちは宗教の垣根を越えて仲良くしているのに、男性たちは何かと争いをする。それをやめさせようと奮闘する悲喜劇です。実際にレバノンは1900年までずっと内戦状態だったし、今でもヒズボラ(ヒスブッラー)の拠点だから、この映画のようないざこざは実際にあること。

この映画で「男って馬鹿で単純だな~」って思えるシーンが幾つもある。女性たちは息子や旦那さんを失う経験をしている人が少なからずいるから、もう戦争で失いたくないって言う固い決意がある。そのために知恵を絞って策を練って、と奇想天外な事もするんだけど、随所にジョークがあって、イスラームやアラブの事がわかると笑える。

この映画の中にベリーダンスのシーンがあるのだけど、レバノンやエジプトでは問題ないけど、イエメンではカットされたらしいから、それぞれの国のイスラームの厳格度で規制が入るのかな。

今回、イスラーム映画祭にたくさんのお客様がいらしていて、それはとても嬉しいことだけど、イスラームやアラブの社会情勢を知らずにどこまで理解できるのかな?と正直思った。実際に、この映画祭のトークショーに参加する写真家の女性は理解できなかったので面白くなかったとおっしゃってました。たくさんの人に見て欲しいし、イスラームを知ってもらいたい。実際のイスラームはこうなんだよって映画を通じて知ってもらえる良い機会だと思う。でも、今回のエジプト映画のように説明がなければ理解できない作品があるのも事実。本当は、映画上映の前にその国のイスラームや社会事情を説明するとわかり易いのかも知れません。

ひとくくりにイスラームと言ってもアラブとアジアでも違う。イスラームって土着の習慣とかが一緒になってその国のイスラームになっている場合が多々ある。ゆるい国と厳格な国。ヒジャーブにしても、クルアーンでは顔は出して良い事になっているけど、ニカーブ(目だけだして顔全体を覆うヴェール)やブルカ(目の部分がメッシュになっているだけで全身を覆うヴェール)をしなくてはいけないとしている地域もあるし、妻や子どもにそうしなくてはいけないと強要する男性もいる。色々です。

イスラームの中でも、ヒズボラシーア派だからスンニ派とは相容れないし、クリスチャンvsムスリムだけでなく、シーア派vsスンニ派もあるわけだから。難しいです。宗教では寛容を説いているのに、他人や他国に寛容になれない。いろんな人がいて、いろんな国があって多様性があるからこそ面白いし、発見があるのにね。

イスラーム映画祭2は、東京の後、名古屋と神戸でも開催します。

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